講座

シラバス

<講座名>メディア・リテラシー

<担当>藤原かずえ(アゴラ研究所フェロー)

<使用言語>日本語。ただし、専門用語には適宜原語(英語・ラテン語等)を付します。

<教科書>本サイトにアップロードされたウェブページ自体が教科書となります。

<参考書>適宜紹介します。

<内容>次の7つとします。

〔1〕イントロダクション

〔2〕メディア・リテラシーの基本概念

〔3〕情報操作と詭弁 ー 論点の誤謬

〔4〕情報操作と詭弁 ー 論拠の誤謬

  • 感情に訴える論証:感情を論拠にする
  • 人格に訴える論証:人格を論拠にする
  • 権威に訴える論証:権威を論拠にする
  • 偶然と必然の誤謬:偶然性と必然性を誤って論拠にする
  • 単純化の誤謬:因果関係を過度に単純化して論拠にする
  • 因果の誤謬:誤った因果関係を論拠にする
  • 確率統計の誤謬:誤った確率論・統計則を論拠にする
  • 仮説設定と類比論証の誤謬:蓋然性を論拠に演繹推論する

〔5〕情報操作と詭弁 ー 論証の誤謬

  • 形式的誤謬:論証の方法が形式的に誤っている
  • 論点欠如:論点が欠如している
  • 論拠欠如:論拠が欠如している
  • 反証不可能論証:反証可能性がない
  • 矛盾と強弁:矛盾した議論を強弁する

〔6〕印象操作とポピュリズム

  • 自己呈示:自己を偶像化して印象操作する
  • 偶像化:自説の賛成論者を偶像化して印象操作する
  • 悪魔化:自説の反対論者を悪魔化して印象操作する
  • ポピュリズム:印象操作により自説に誘導する

〔7〕認知操作とプロパガンダ

  • 認知バイアス:個人の認知における心理学的傾向
  • 記憶バイアス:個人の記憶における心理学的傾向
  • 社会バイアス:集団の認知における心理学的傾向
  • プロパガンダ:心理操作により自説に誘導する

<進め方>本サイトにウェブページの形式でテキストを随時アップロードします。基礎となる〔1〕〔2〕のテキストを先行してアップロード、各論である〔3〕~〔7〕のテキストは順不同で適宜アップロードします。具体的な進め方は次の通りです。

〔1〕は導入部であり、【メディア・リテラシー】の必要性を述べます。

〔2〕では、メディア・リテラシーを学習する上での最も重要な【基本概念】を簡潔に述べます。この基本概念(難しくありません)を十分に理解することによって頭の中が整理され、〔3〕~〔7〕に示す各論をより系統的に理解することができるようになるものと考えます。

意図的に論理的誤謬を発生させる【情報操作 information manipulation】によって自説に誘導する行為を【詭弁 sophism】と言います。〔3〕~〔5〕では、3つの形態(前提の誤り・推論の誤り・論証構造の誤り)に分類される約200種類の【論理的誤謬 logical fallacy】について、統一フォーマットで系統的に説明すると同時に、その実際の事例を紹介したいと思います(将来的にはデータベース化を目指します)。

論者に善・悪を割り当てる【印象操作 impressive manipulation】によって自説に誘導するのは【ポピュリズム populism】の常套手段です。〔6〕では【自己呈示 self-presentation】【偶像化 idolization】【悪魔化 demonization】に分類される約30種類の印象操作について、統一フォーマットで系統的に説明すると同時に、その実際の事例を紹介したいと思います。

個人や集団の心理学的傾向につけこんだ【認知操作 cognitive manipulation】によって自説に誘導する行為は【プロパガンダ propaganda】の常套手段です。〔7〕では、数100種類に及ぶ多数の【認知バイアス】【記憶バイアス】【社会バイアス】を簡便に紹介するとともに、いくつかの心理操作の内容及び実際の事例を紹介したいと思います。

<到達目標>メディア・リテラシーを発揮して、あらゆるメディア情報に対するファクト・チェックのスキルを身に着けることを目標とします。メディア・リテラシーは知識ですが、個々の知識を詰め込む必要はなく、修得すべきは論理的な考え方です。

<フィールドワーク>各自のビジネス・生活空間におけるメディア・リテラシーの実践的利用こそ、当講座のフィールドワークに他なりません。